蛇の家
どんな伝承か
この村のとある家へ、ある時、一人の落武者が慌てふためきながら駆け込んで来て、しばらくかくまってくれと頼んだ。主人は快く承知し、落武者を裏の間へ引き入れた。間もなく追ってきた軍勢が、この家へ逃げ込んだようだから引き渡してもらいたいと掛け合うと、主人は固くかくまうと言った裏をかき、隠しだてもなく隠れ場を教えたので、落武者は苦もなく引きずり出されて殺されてしまった。殺される際、武士はその家の人間を非常に怨み呪って死んだそうで、それからその家には執念の蛇の影が現れるようになった。客の間、茶の間、絵の裏など、居るはずのないところに蛇が見えるが、他家の者には決して見えないという。
原典より
此村のとある家へ、或時、一人の落武者の姿が、あわてふためきながら駆け込んで来て、どうか暫くかくまつてくれろと頼みだつた。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・明治~昭和初期(推定))
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 上総の巻』を全218話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。