鼠坂の森に残る道鏡寺の址
どんな伝承か
市原郡鼠坂を登ると、左手に見える森のあたりに、昔六十軒もあったという道鏡寺の址があると伝わる。房総志料は、称徳天皇の御代に道鏡が下野国薬師寺の別当職に任ぜられた折の落去ではないかと推測している。坂の脇の山には道鏡の弟子某の墓というものもあり、その傍らには玉桜と名付けられた名木もあったが、里の子供に枝を折られるため今は他へ移し植えられてなくなったという。
原典より
市原郡鼠坂を登ると、左の側に見える森のあるあたり、昔に六十軒もあつた道鏡寺(一名、道鏡寺)の址だといはれてゐる。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。