孝行息子の井戸から湧いた酒
どんな伝承か
酒々井の妙見宮の前に円福寺という寺があり、その町の中ほどに深い井戸がある。昔、この村に酒好きの老人と孝行な息子が住んでいた。息子は働いて得た金で酒を買い父を喜ばせていたが、ある日、金が尽きても父が酒をせがむので、やむなく井戸の水を汲んで差し出した。すると父は美味い酒だと喜び、息子が飲んでみても紛れもない美酒だった。翌朝汲んでもやはり酒が湧いており、以来老人は限りなく酒を飲むことができたという。この不思議を記念して村を酒々井と名づけたと伝わる。記録は円福寺にあったが明治の初めに焼けた。「佐倉風土記」も酒井村の円福寺に昔醴泉があり、村の名の由来になったと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 下総の巻(藤澤衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 下総の巻』は、藤澤衛彦が編著し、大正七年の緒言と大正八年の序を添えた下総国の伝説集である。平将門・佐倉宗吾・真間の手児奈・累などを中心に、千葉県と茨城県西部にまたがる旧下総の城跡・寺社・墓・橋・井戸などにまつわる伝説を、地誌や古記録の引用を交えて収める。緒言で百七十九編を収めると述べ、国名の由来から始めて、話ごとに所在の町村名を付した見出しを立てて並べる。