杖珠院に眠る里見義実の墓
どんな伝承か
白浜村の三峯山杖珠院は曹洞宗の寺で里見氏の菩提所であり、文安元年に里見義実が開基したと伝える。境内に高さ六尺ほどの里見義実の墓があり、正面に杖珠院殿建室奥公大居士と刻まれる。元和八年正月に九代忠義が建てたもので、墓の後ろにある剥落した五輪塔こそ旧碑だろうという。墓前には明治八年に有志が建てた里見累代の碑もある。義実は結城落城ののち安房へ逃れ、群雄の乱れる中で押されて将となり、白浜に居城を構え、後に館山へ移った。安西氏の謀叛を丸氏らに討たせるなど安房を平定し、長享二年四月七日に七十二歳で没して杖珠院に葬られたと『大日本国誌・安房』は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。