裏塚
どんな伝承か
安房郡田原村大字大里に、裏塚と呼ばれる塚があり、古い祠があって聖権現と称している。里人はその塚を裏塚の姫君と呼び、この地を過ぎる時は声を潜めて通るのを例とするという。昔、里見氏の繁栄の頃、一人の官女が里見氏の寵愛をここで受けていたが、一夜のうちに跡形もなく失せたと伝える。「房総雑記」は、この塚のほとりに天正の頃の作かと思われる銘のある古鐘があり、土地の人はこの鐘を打つと祟りがあるとして打たなかったが、遂に自ら鳴って、その家の者が死んだと伝えている。近ごろ山が崩れて塚が壊れ、里人が底を極めて見ようとしたのを、里正が制し止めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・江戸~明治時代)
藤沢衛彦編『日本伝説叢書 安房の巻』を全186話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。