銭が掛かっていた吉祥寺の松
どんな伝承か
盛岡の北のはずれ、北山に吉祥寺と徳年寺が並んで建つ。昔この吉祥寺に銭掛松があった。素性の知れない老人が如来の首を持ち込み、二百文で買ってくれというので寺が引き取ると、翌朝その銭が庭の松に掛かっていた。のちに住職が都へ上って胴を探し当て、首と合わせると離れなくなったので二十金で買い求め、いまも安置しているという。以来この松には参詣者が絶えなかったが、木は枯れ、いまは隣の徳年寺の門にある松が代わりを務めている。
原典より
北山に吉祥寺と德年寺が並んでゐる。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。