悪馬をなだめた小僧姿の鼻取地蔵
どんな伝承か
橘樹郡上作延村の延命寺では、本尊の地蔵を鼻取地蔵と呼ぶ。狂った馬を鎮めるまじないがあるという。昔、この地の里長の家に気の荒い馬がいて、田植えの折に農具を負わせて田へ行くと、馬は逆らって進まなかった。そのとき地蔵が小僧の姿で現れ、馬の口を取ってなだめると、悪馬もおとなしくなった。翌日、住僧が読経の際に像の足へ泥がついているのを見つけて人に語ったところ、里長は前日の小僧を思い合わせ、鼻取地蔵と名付けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。