歯痛に効くかねかけ石
どんな伝承か
揖保郡網干町、小学校の脇の坂に紺色をした石が四つ五つ据わっている。以前は脇坂家の下屋敷があり、御屋敷と呼ばれていた場所である。この石を明神石、またはかねかけ石といい、歯が痛むときここに祈願する者がある。昔、加茂明神がここに現れて化粧をされ、余った紅を捨てられたので石が紺色になったのだという。蛤の貝で海水を汲めと命じられたのに村人が従わず、明神が怒られたという話も伝わる。
原典より
現在ある小学校脇の坂にあり、以前、脇坂家の下屋敷のあつた御屋敷と呼んでゐる處に、方三四尺の紺色をした生石が四つ五つあるのを明神石、またはかねかけ石といつて歯の痛む時この石に祈願する者がある。—— 日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。