福正寺の住職が通った天狗松
どんな伝承か
愛知県岡崎市秦梨町字灰畑の話。今は枯死してないが、幕末のことである。秦梨町の福正寺の先住が、灰畑の檀家へ通夜に行って遅くなり、大池のそばを通ると、樹齢三百年以上もたった松の樹上に天狗がいて、何か酒盛りのような振舞いをしていた。おそるおそる提灯の火を頼りにその下を通ると、われ鐘のような声がして生きた心地がしなかったと、父から話されたと、今の安藤祐允住職は語った。それ以来、この松を天狗松と呼んだということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。