秋晴れの山に映った黒い影
どんな伝承か
東京都八王子市美山町遠の谷戸の話。明治四十二、三年の十月二十五、六日頃のこと。麦まきで忙しく、どこの畑にも人が出ていて、二十人ほどがそれを見た。朝十時のお茶の時、雲一つない秋晴れの日なのに、山に影がずーずーっと映った。風雲が飛ぶようで、姿をさがしても何も見あたらない。天狗様だと皆で言い合ったという。話者は牛尾正三、渡辺節子が文にまとめ、「あまんじゃく」三号に収められた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。