国見権現で天狗に法力を授かった太夫
どんな伝承か
明治の初め、土佐郡鏡村に弥太ヱ門という太夫がいた。修行のため国見山の頂に祀られた国見権現に三日三晩の願をかけ、夜通しの行を続けていると、三日目の丑三つ時、闇の中から鳥の羽音がして、かぶっていた烏帽子の先に何かが止まった気がしたまま満願の朝を迎えた。権現の使いの天狗が法力を授けに来たのだと噂され、弥太ヱ門の法力はいっそう冴えた。村に悪病を寄せつけなかったが、ある年赤痢で女房を亡くすと、神に裏切られたと怒って金幣を道ばたに逆さに吊した。それでも咎めはなく、九十まで長生きしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。