産を嫌う刈倉峠の天狗
どんな伝承か
奥多摩町の峠に、天狗を祀り込んだという場所がある。峠は刈倉と呼ばれ、そこの神はたいそう霊験があらたかで、出産のあった家の者と同席して食事をすることをひどく嫌ったという。産があると必ず何かしるしが現れ、一週間は近づかなかった。あるとき、向かいの谷から凄まじい剣幕で風が吹き寄せ、谷ひとつを押し流すような勢いに追われて、語り手は逃げ帰るのがやっとだったという。もう五十年も前になる出来事である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。