水底に沈んだ小河内村の民俗調査
どんな伝承か
東京都民の飲み水をたくわえる奥多摩湖の一帯は、都の北西のはずれにあり、かつては小河内村と呼ばれた寂しい山間の土地であった。水底に沈んだのは戦後で、著者は沈む前のこの地域を親しく調べる機会を得ている。山あいの村だから炭焼きや製材、植林といった山仕事が多く、多摩川の谷に散らばる小集落を結ぶ小道は、中央線が通る前まで江戸や甲府へ薪炭材を運ぶ大切な道筋としてにぎわった。鉄道が開通すると往来は急に衰え、やがてダム建設のために村を捨てて移る運命をたどる。著者はこの村を、民俗の型から郷土の歴史をたどる作業の一例として選んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点(桜井徳太郎・桜井徳太郎・歴史民俗学・1977年(昭和52年))
『霊魂観の系譜――歴史民俗学の視点』は、桜井徳太郎が一九七七年(昭和五十二年)に著し、筑摩書房から刊行した論文集である。昭和三十二年から五十年にかけて学会誌や雑誌、新聞に発表した論考を収め、民俗学と歴史研究の関係、郷土の民俗像の史的復元、古代のシャマニズムと憑霊、呪いの人形、怨霊から御霊への死霊観を論じる。後半で折口信夫の巫女観と柳田国男の祖先観を検討し、巻末にあとがきと初稿発表覚書を付す。