日原の奥にある驚滝の行場
どんな伝承か
四、五か月たったころ、奥多摩の沢入の派出所から研究所へ速達が届いた。もと所員の水原きくのが発狂し、この村の驚滝という行場にいる、気の毒で見ていられないから至急引き取ってほしいという。著者は東村と連れ立って現地へ向かった。驚滝は日原の鍾乳洞から秩父の仙元峠へ抜ける谷間にあり、名に似合わず荒い滝である。手紙をよこした若い警官の河辺が案内に立ち、春になるとこのあたりで谷渡りの声がやかましいほど聞こえるので、その名がついたのだろうと道々説明した。尾根を越えると、真下に淀のような滝壺が湧いていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。