猫がいわやで牛を探して化かされる
どんな伝承か
隠岐の知夫里島の話。旧暦五月ごろ、雨の降る気味の悪い日に、話者は山へ牛を連れ戻しに行ったが、みや川の方には誰もいなかった。そこは猫がいわやといって、猫に化かされる所だと言われていた。牛を探して歩き回っていると、ワヤワヤと人の声がしたので誰か来たのだと思って待ったが、誰も来ない。ようやく牛を捕まえたものの言うことを聞かず困っていると、のんまの爺さんと婆さんが上から下りてきたので、牛を追ってもらって連れ帰った。家で猫がいわやの上に牛がいたと話すと、化かされていたのだと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。