猫の祟りで踊り出した死人
どんな伝承か
嶺には正善寺という寺があったが、今はもうない。その檀家の家で年寄りが亡くなったとき、死人が踊り出したという。落語のかんかん踊りのような具合だったそうだ。ふつう亡骸のそばには刃物を置くものだが、その家ではそれがなかった。猫の祟りだというので本門寺からあらん限りの僧が来て経を上げたが、体はいっこうに柔らかくならない。そこへ宝幢院の和尚が来て、高野山から受けてきた土砂をかけ、経を読んだところ、ようやくくたくたと力が抜けたという。天井裏に猫がいたのだとも言われ、以来、死人に猫を近づけるなと戒められるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。