狸落としの帰りに化かされた瀬具法印
どんな伝承か
明治初年ごろ、山城谷村字瀬具名に西岡山という修験者がいて、瀬具法印と呼ばれ、方々から祈祷に招かれていた。あるとき馬路村字深川の家へ狸憑きの病人の祈祷に呼ばれ、夕食をふるまわれてから三里余りの道を帰ったが、いくら歩いても家に着かない。真っ暗な中で顔に何かがぶつかり、探ると大木で、右へ行っても左へ行っても木に当たる。さまよううちに夜が明けると、家とは正反対の方角の険しい坂を二十町も登った一茶堂の裏の森にいた。雲辺寺の狸に化かされたのだと、当時大評判になったという。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。