恐山の地蔵に写った婦人の顔
どんな伝承か
昭和五四年ごろ、常々お参りしたいと思っていた霊山恐山へ、妻とともに出かけた。受付を通り、最初に出会ったお地蔵さんに、亡くなったお婆さんのためにと石を上げている、その様子を撮ったスナップ写真に異変があった。地蔵さんの下半身の白衣をスクリーンにして、中年の婦人らしい顔がはっきりと写っていたのである。その後いろいろな人たちに見てもらったが、写真ははっきりしているのでみんなが認めてくれた。笑っている顔なので、その後は仏壇に上げて拝んでいるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。