片目を見開いた生首の掛け軸
どんな伝承か
昭和五一年八月の撮影である。弘前市の正伝寺の住職、長谷川達温が所有する生首の掛け軸は、本物の血で描かれていると伝えられ、見る人をぞっとさせていた。もとは蘭繁之が京都から求めたもので、自宅の箪笥に入れておくと箪笥が変な音を立て、家族が高熱を出すなどしたため、供養してもらおうと知り合いの住職に譲ったものだった。掛け軸には真っ青な顔に血のにじんだ生首が写実的に描かれ、その下に渡辺金三郎と墨で大きく書かれている。テレビ放映を東京の医師がカメラに収めたところ、金三郎の片目がかっと見開いて写っていたという。
原典より
出典・大高興著『お化けと幽霊』(北の街社)。—— 現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。