雪中行軍慰霊祭の煙に浮いた顔
どんな伝承か
昭和五二年七月五日の夜八時、青森市幸畑の陸軍墓地の広場で八甲田山雪中行軍隊の慰霊祭が営まれた。この日この時間は朝日テレビが現場から全国へ生中継していた。慰霊祭には多数の僧侶が出席し、その一人に、かつて神成大尉の五十年の供養を勤めた青森市八重田・海昌寺の石岡住職がいた。住職の娘婿にあたる成田智士が記念に撮った写真をよく見ると、「雪中行軍隊慰霊祭」と墨書した板の上方に漂う線香の煙のなかに、煙で出来た大きな顔が、参列者を見下ろすかのように写し出されていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。