骸骨のように写った復員の兄の婚礼写真
どんな伝承か
兄は敗戦の年の一〇月、ウォッチェ島から生き残ってやせ衰えた姿で帰還した。研究の遅れを取り戻すべく急ぎ東京の研究室に戻り、身の回りの世話をさせるため親のすすめで翌年一月六日に結婚式を挙げた。ところが出来上がった新婚記念写真は、がいこつのような姿に写っており、本人に見せることもできなかったという。兄は二年後に亡くなり、写真は焼き捨てられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。