牛が死んだと読まれた訃報の電報
どんな伝承か
栗駒町に丑蔵という、牛のように何事もゆっくりした人がいて、栗駒山の雪も溶けた田植えの最中に突然死んだ。部落は全戸が契約講に入っているので、忙しい時をさいて葬式の段取りにかかり、二人一組で知らせに走った。道ばたで会った越中富山の薬屋に、今朝部落の牛が死んだので知らせに行くと言うと、薬屋は堅い人達だと感心して去った。岩手の松尾銅山で働く弟の源記へ「ウシシング ゲンキサマ」と電報を打つと、事務員は悪戯だと思って二度ともストーブにくべてしまい、当人が来て初めて騒ぎになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。