夢枕に立つ落武者の僧と立家地蔵
どんな伝承か
城島町下青木で今の家を買って何十年にもなるが、不思議なことがいろいろあった。夜中に縁側を人の歩く気配がしたり、庭先で経を読む声がしたり、眠っていて目は開かないのに、旅の坊さんが障子を開けて枕元に坐り、顔を撫でていく。あまり気味が悪いので祈禱師に尋ねると、坊さんが埋まっているのだという。昔このあたりは一面の葦野で、関ヶ原合戦の落武者が坊さんとなって住み、学問もあり村人から慕われていたが、詮議が厳しくなって人里におられず、川岸の葦野の中で死んだ。誰も知らぬまま砂に埋もれて何百年も経ち、供養してほしいと家の者に訴えていたのだという。夢枕に立った坊さんの姿を刻んで祀ったのが、あの立家地蔵だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。