天然色の夢は死が近いという言い伝え
どんな伝承か
比婆郡口和町の話。この地方の老人の間には、色のついた天然色の夢を見ると死が近いという言い伝えがあったという。Fさんは昭和五十七年に四十歳で、アルコール依存のため広島市のある病院に入院しているが、毎夜、十代で結婚して死んだ妻の顔が原色で映ったり、きれいな原色の広い風景を夢に見たりするという。Fさんは「わしの命も長くはないのじゃろう」と真顔で語ってくれたそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。