妻が見た人魂と坂井さんの最期
どんな伝承か
三潴郡城島町での話。語り手の妻の道子が人魂を見たという。語り手は流れ星か飛行機の点灯か、どこかの電灯の反射ではないかと言ったが、妻は絶対に人魂だったと言い張った。人魂は青白く細い尾を引いてゆっくり屋根すれすれに飛ぶもので、縁の深い人や親しい身内・知人がよく見るものだと語り手が話すと、妻は「坂井さんの人魂かも知れない」と言った。坂井は入院中の一人暮らしで、隣近所の付き合いとして日頃から心にかけていた人であった。妻が人魂を見た二日後の早朝、妻は坂井の家の周囲の草をせっせと取っており、掃除が終わった昼頃、訪ねてきた親類の者から、坂井が今しがた息を引き取ったと聞かされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。