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一神の君と大摩の猟師

所在地宮崎県東臼杵郡椎葉村大字大河内
年代不明
登場一神の君、山の神の母
出典福井縣鄕土誌 民間傳承篇

どんな伝承か

山の中でのお産の伝承の例として、日向の市房山に近い椎葉の大河内の集落に伝わる猟師の伝書が引かれている。それによれば、天の浮橋の上で山の神が千二百柱生まれた。この山の神の母は一神の君といい、お産をして三日たっても、まだ産後の腹を温められずにいた。浮橋の上に立っていると、毎日山に入って狩りをする大摩の猟師が通りかかったので、一神の君は、お産をして三日になるがまだ腹を温めていない、お前の持っている弁当を少し分けてほしいと頼んだという。著者は、母神の名の「一神」が、神に仕える女性を意味する「いち」に通じると論じている。

原典より

此浮橋の上に立ちたまふ時、大摩の獵師每日山に入り狩をして通る時に、山の神の母一神の君に行逢ひたまふとき、われ産をして今日三日になるまでうぶ腹を温めず、汝が持ちしわり子を少し得さすべしと仰せける。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))

『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。

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