鶴淵の竜神がもたらした九穴の貝
どんな伝承か
会津地方の言い伝えでは、元明天皇の和銅元年に庚申信仰の布教者である泰勝道という者が来て、里長の娘と睦まじくなり、養老二年の元朝に一女が生まれた。ある日、勝道が村の父老を集めて庚申講を営んでいると、駒形岩のあたりにある鶴淵から竜神が出て、集まった人々を饗応した。その馳走の中に「九穴の貝」があったが、人々は怖れて食べなかった。それを勝道が拾って持ち帰り、生まれた一女がこれを食べて長寿を保ち、八百比丘尼となったのだという。『新編会津風土記』巻五十に出ていると記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。