ビードロの障子で庭を眺めた綱宗
どんな伝承か
二十一歳で隠居を命ぜられた伊達綱宗は品川屋敷に閉じ込められ、正徳元年に七十二歳で世を去るまで屋敷から一歩も外に出ず、忠実に罰に服した。屋敷の中では思うままで、長崎から当時非常に高価だったビードロを壊れないよう馬の背で取り寄せ、庭に面した障子全部にはめ込んで、硝子越しに庭を眺めて喜んだという。書画は師の探幽に劣らぬといわれるまでに上達し、能や茶、硯箱や琴の細工、陶器焼き、刀工藤原安倫を相鎚とした刀剣鍛えにも凝り、犬に芸を仕込み庭で鷹狩もした。屋敷は今の京浜急行鮫州駅のすぐ近くで、前は海、隣に海晏寺があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸動物民話物語(窪田明治)
『江戸動物民話物語』は、「郷土史・東京」の刊行会を主宰した窪田明治が、東京の郷土史を調べた材料から江戸の民話を選んでまとめた本である。狐や狸、猫、蛇が人を化かし、恩を返し、祟る話を中心に、本郷・王子・向島・麻布・三田など東京各地に伝わる話を収める。狐・狸・猫・蛇・不思議な生き物の五部に分け、一話ごとに舞台となった土地の史跡や寺社の由来、沿革の解説を添え、まえがきとあとがきを付す。