読経しながら伐った天狗の栗の大木
どんな伝承か
明治のはじめの話である。多良の上原大洞というところに、むかし天を突くような栗の木があり、天狗が住んでいるといわれていた。ある年、お寺の本堂を建立するためこの木を伐ることになった。村一番の木こりの縫治郎が木を伐りにかかると、急に大あらしになり、彼はこの大木の下で死んだ。それを伝え聞いた長五郎という木こりは、寺の住職を呼び、お経に合わせて木を伐った。三日目、さしもの大木も地響きをどうと立てて倒れた。すると大きな天狗がそこからとび出し、西の山へ飛んでいった。この浄徳寺の本堂の縁の板は、この木一本だけでできており、上り段はその枝だけでできたといわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)