残した梅の実の梅干しが防いだ腸チフス
どんな伝承か
昭和一八、九年の頃の話。畑の隅に二本の梅の木があった。古い木で実は少ししかならなかったが、葉がよく繁って日当たりが悪く、まわりの作物に影響した。食糧難の時代だったので伐ることにしたが、おばあさんは先祖が残してくれた木だと反対し、その年は切るのをやめた。翌春、どうしたことかいつもより実がたくさんなり、おばあさんはそれで梅干しを作った。その年の夏、そのあたり一帯に腸チフスが大流行し、近所の人びとは次々と隔離された。おばあさんの家では梅干しを食べれば悪病にかからないと毎食食べていたが、この家からはチフス患者が一人も出なかった。以前にも野火が広がったとき火を防いでくれたことがあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)