一夜のうちに裏庭へ現れた梅の木
どんな伝承か
大阪南堀江橘通の恒原家の裏の小庭には、梅の木が一株あった。杉島信衛がそのいわれを尋ねると、松太郎はこう答えた。ある夜、御神前の天満宮から、梅の木を裏に植えておいたから大切にせよと告げられ、朝見ると親指ほどの太さの梅が植わっていた。軒下では雨戸の開け閉めに障るので、許しを得ていまの場所へ植え替えた。その後、梅のそばに干し物をするな、若芽が出ているからと告げられ、見に行くと箸ほどの芽が二本生えていた。杉島が庭に出て確かめると話のとおりで、梅のそばの小さな祠には、これも神から授かったという猫ほどの白い石の牛が祀られていたという。
原典より
朝起きて見ますれバ、親指の太さ位の梅の木壱本植ゑてあります。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。