樹齢六百年の椎を若返らせる木の医者
どんな伝承か
平成三年六月一一日のこと。日本にただ一人という樹木の医者が、中野区江古田の区立民俗資料館で、樹齢五、六百年という椎の大木の手当てにあたっていた。九一歳になるその指導者は、長生きをしたければこの幹に手を置きなさい、木の精が伝わって長く生きられる、そしてこの葉を身につけておくとよい、と語った。居合わせた人々は我先にと幹に手をふれ、椎の葉を摘んで大切にしまい込んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。