東京湾の船を導いた六郷神社の大杉
どんな伝承か
六郷神社の社殿の向かって右手に、大きな杉の伐った根元が残っている。語り手が子どもの時分には空にそびえ、六郷じゅうで一番高い杉だった。東京湾で漁をする人たち、船に乗る人たちはその杉を目標にし、目印として仰いだ。しけがあるとそれを目当てに多摩川の河口へとび込んできたという。そのおかげで羽田の漁師や船が助かった。六郷の八幡神社の大杉は命の神様だというわけで、羽田の人々は自分たちの羽田神社より六郷神社を尊敬し、祭りも昔は六郷と羽田で一緒にやっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。