松の枝でいびきをかいていた大蛇
どんな伝承か
神明様の池と呼んでいたところは、語り手が小学校に上がったころ、大きな木が茂ってうっそうとしていた。近所の老人が池のすぐ南側あたりの田で草取りをし、昼になって大きな松の木の根元で昼食をとり、その根を枕にうとうとしていた。すると大きないびきが聞こえる。目を覚まして見上げると、大笊ほどの頭の大蛇が松の枝の上でいびきをかいていた。老人は肝をつぶして真っ青になって飛んで帰り、それから一週間もたたぬうちに亡くなったという。明治の末ごろの話だと聞いた。その後、池の上の茅畑には自動車のタイヤほどの太さの跡がついていたという噂も立った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。