拾い上げた流木が大蛇だった水害
どんな伝承か
昭和九年七月の大水害は、死者九一人、行方不明五七人を出した。この洪水で上流から手取川に多くの木が流れてきた。手取川下流沿岸の人々は、捨て去るのはもったいないと川の木を拾い上げたところ、それは大蛇だった。驚いて川へ戻し、海へ行ったのだろうと安心していた。ところが、それから下流の田畑に蛇が増えはじめ、人々は今も悩んでいるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。