動きだした林道の松の材木
どんな伝承か
土佐清水市役所の職員が土曜の午後、翌日の魚釣りの餌にする川エビを採ろうと、谷川沿いの林道を軽四で走っていた。奥のほうがよかろうと進むと、道幅三メートルほどの道に大きな松の材木が真横になっている。一人で除けられるだろうと車を降り、この松は何だろうと上を見ると、山仕事の男衆が三、四人いた。あの人たちが落としたのかと独り言を言いながら近寄ると、その材木がすうすうと山手のほうへ動いた。よく見れば材木ではなく、大人の太腿ほどもある大蛇で、どちらが頭か尾か見分けもつかない。慌てて車に走り込み、狭い道をどうバックしたかも覚えぬまま引き返したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。