沼の主が化けた小学校の先生
どんな伝承か
産婆のいない頃、取り上げをしていたオタケという婆さんが、隣村で父無し子の出産に呼ばれた。ところが生まれたのは耳まで口の裂けた大蛇だったという。明治の中頃のことか。娘はなら山という村の者で、奥川のずっと山の方の二軒家に住み、毎朝、葦の茂る沼へ馬草を刈りに通っていた。そこで会う小学校の先生に心を寄せていたが、相手は先生ではなく沼に棲む主の大蛇で、娘の心を見抜いて化けていたのだった。暗いうちに来いと言われるまま通ううちに身ごもり、三日三晩の難産の末に、口を開けて人に襲いかかる子が生まれた。叩いても死なず、以後は毎晩、産婦の寝るあたりの壁が光った。最後は巫女に拝んでもらってようやく収まったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)