菅笠が防いだ山の主の眠りの術
どんな伝承か
ある娘が一人で山畑へ小豆をもぎに行ったところ、ひどく眠くてならなかった。近くの岩から吹き出す清水で顔を洗って目を覚ましていたが、どうしてもこらえきれず、昼を待たずに家へ急ぎ帰って眠り、そのまま一月も床についてしまった。案じた家の者が神おろしの口寄せを頼んで尋ねると、山の主という大蛇が娘を嫁に欲しくて、山畑の近くの木の上から眠りの術をかけて呑もうとしたが、娘が日焼けを嫌って菅笠を片時も外さなかったので果たせず、悔しがって呪っているのだという。人形に娘の着物を着せて山畑へよこせば諦めるとのことで、そのとおりにすると娘はもとの元気に戻った。山へ行くときは魔除けの笠や山刀を忘れず持つものだと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)