首を落とされた蛇が孫の枕元に来た
どんな伝承か
語り手が一四、五歳の頃のことである。百姓好きの祖父が畑にいるとき、ヤマカガシを見つけて知らせると、祖父はいきなり鍬でその頭を切り落とし、そのまま畑へ行ってしまった。子どもだった語り手は死んだ蛇を木の上に放り上げた。その夜、家鳴り振動という前触れの音が地震のように響き、目を覚ますと枕元へ一匹の蛇が入ってきて、とぐろを巻き悲壮な顔で見つめていた。うなされて自分の声で目が覚めると蛇はいない。翌日に見に行くと、首の切れた蛇は木の上から消えていた。その後も家鳴り振動が起き、戸がすっと開いた。殺した祖父ではなく孫のところへ来たのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。