砂で穴をふさぐ蛇を見た男の目
どんな伝承か
語り手が親から聞いたのは昭和の初めだが、実際にあったのは明治の中頃だという。ある日、近所の人が山へ行き、何匹ものヘビが穴の中に這い込むのを見た。寒くなったから冬眠だろうと思って眺めていると、最後の一匹の太いのが穴のそばでごろごろとのたうち回り、うろこの間に泥や砂をつけている。何をしているのかと見ていると、その蛇だけは他と反対に尾のほうからずりずりと穴に入り、うろこが逆立って泥や砂が入口でこそげ落とされ、それで穴がふさがっていった。感心して見ていた男は急に目が見えなくなり、通りかかった人に家まで連れ帰ってもらった。翌年の春、ヘビが穴から出る時分になると自然に見えるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)