火事を言い当てた岩船の弘法様
どんな伝承か
昔、岩船に弘法様と呼ばれる、恐ろしくよく当たる占い師がいた。何日の何時ごろ火事があるから気をつけよと八卦を置くと、その時刻に必ず火事が起き、分刻みまで三度も四度も的中したので町の人々も肝をつぶした。あまりに当たるので警察が連れて行き、火事の時刻が分かるなら付け火の犯人も分かるだろうと問うと、分かるが言えないと答えた。わけを聞かれると、犯人を捕らえるのはあなた方の仕事、自分は仏に仕える身で悪人を救い善人にするのが務めだから誰にも言えないと言う。あの手この手で迫っても同じ言葉を百回も繰り返すので、警察もついに根負けして帰したという。
原典より
むかし、岩船になんぼか正し弘法サマがあったと。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。