供物の爪あとで漁場を占う稲荷
どんな伝承か
狐は人に悪さをするばかりではない。稲荷様の使いとして、漁の吉凶を前もって知らせてくれることもあった。浜関根は漁の関係で昔から稲荷信仰が厚く、狐の鳴き声を聞くと婆さまたちは集落の稲荷神社に神酒を供えて祈った。イワシ漁が盛んなころは漁のたびに三匹を社前に供えて次の豊漁を願い、月に三度は小豆飯を供えて海の安全を祈った。社殿は隙間だらけで猫も出入りしていたが、猫は供物に手をつけない。翌朝見ると供物には必ず爪の跡があり、イワシや小豆飯のどこに跡がついたかで、どの辺りに網を入れれば大漁かを占ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。