行者を恐れおののく良助
どんな伝承か
昭和二十年の正月、英男の知人の紹介で一人の旅の行者が本間家に泊まった。行者は房総を行脚していただけで、この家に起きていることは何も知らなかった。翌朝、良助はそれと知らずに客間へ入り、そこにいるのが行者だと分かった途端、震え上がって恐れおびえ、部屋を飛び出した。千代を呼ぶその声も震えていた。事情を聞くと良助は自室に入ったきり出ようとしない。そのすぐあと、行者とばったり出会った勇もまた激しく怯え、逃げるように自分の部屋へ閉じこもって、行者が帰るまで出てこなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次によれば原本は悪霊憑依の実話十一話を二部に分け、終わりに霊魂の存否と悪霊対策を論じる章を置く。