黄八丈の娘を横浜まで乗せた車
どんな伝承か
タクシーがどこでも拾える時代になると、幽霊もこの便利な乗り物を使うようになった。池田彌三郎の本に、ある運転手から直に聞いたという話が載る。青山墓地で黄八丈を着た娘を乗せ、横浜まで走った。着いた娘は持ち合わせがないから待ってくれと言い、自宅に入ったきり出てこない。案内を請うと、その娘は数日前に亡くなり、ちょうどその日に青山墓地へ骨を納めたばかりで、生前の姿かたちも年格好もそっくりだったという。走行中の観察も記されている。ふと思い立って鏡を覗くと娘は映らないのに、十字路で速度を落として左右を見るふりをし、横目で客席を窺うと確かに座っている。正面を向いて鏡を探ると、やはりいない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。