忠臣蔵を演じた古猫と猫足石
どんな伝承か
昔、角田市西根に金持ちの呉服屋があり、多くの奉公人を使って手広く商いをしていた。ある年の夏、この地に初めて大芝居が巡業してきた。盆の法楽に、呉服屋では老母一人を留守番に残して一家中が惣見に出かけた。囃子が聞こえてくるたび老母が芝居を想像していると、飼っている古猫が「お芝居をして見せようか。ただし人に告げたら生きていられないよ」といい、後ろ肢で立って巧みに忠臣蔵を演じた。帰宅した家人に老母がつい語ってしまうと、翌朝、老母は床の中で死んでおり、逃げ去った老猫の足跡が石の上に凹んで残った。これを猫足石という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。