蛇を殺して食い斑点の出た女
どんな伝承か
秋田県仙北郡中川村の百姓仙田忠二の妻きくよ、三十六歳は、十月ごろになって急に顔や全身の皮膚に蛇の肌のような不気味な斑点があらわれた。夫をはじめ家人は医者はもちろん神仏にも祈願をかけて全癒を祈ったが、なかなか効き目がなく痛心していたという。きくよは九月なかばごろ、夫の忠二とともに同村の北沢山へ野良稼ぎに出かけた際、八郎潟の蛇体の主が田沢湖の主滝子姫のもとへ通ったと伝えられるあたりで、交尾中の蛇を見つけて惨殺し、焼いて食べていた。村の人々は蛇の怨霊の祟りではないかと噂しあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。