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寝た人の顔を撫でる池の水の精

所在地京都府京都市中京区(冷泉院)
年代伝承(口承)
登場(類話)
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

昔、陽成院の御所だった所は、のちに冷泉院の小路が開かれて北側は人家になり、南側に池が少し残っていた。そこに人が住んでいたころの夏、西の対の縁で寝ている人の顔を、背丈三尺ほどの翁が来て撫でては池のほとりで消えることが毎夜続いた。胆の太い男が縄を用意して一人で縁に寝て待ち、顔に冷たいものが触れた瞬間に捕らえて高欄に縛りつけた。灯をともして見ると、浅黄の上下を着た小さな翁が目をしばたたいている。翁は笑って、鉢に水を入れてくれと細い声で言い、大きな鉢に水を張ると、水に映る影を見て自分は水の精だと言うなり水に溶け、鉢の水があふれて縄だけが残った。それ以来、人を撫でることはなくなったという。

原典より

翁頭を伸べて鉢に向て水影を見て我れは水の精ぞと云て水にジブリと落入ぬれば、翁は見へずなりぬ。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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