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中尾の峠で撃った玉を返した木の葉天狗

所在地山口県岩国市中ノ谷中尾
年代江戸期
登場宇都宮郡右衛門
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

宇都宮郡右衛門も猟のため夜を込めて中ノ谷中尾を越えていった。峠の半ばまで来たとき、小僧が一人現れて「放銃せよ」と言う。的がなくては撃てぬと答えると、小僧はあの松がよかろうと示した。郡右衛門は心の中で、これは愛宕社の配下の木の葉天狗が自分を誑かすのだろう、まずその胆を挫いてやろうと思い、二丸の玉を込めて撃った。撃ち終わるや小僧は「なかなかよく撃つものだ。その玉はここにある」と言って二丸の玉を返し、たちまち見えなくなったという。

原典より

宇都宮郡右ヱ門君 郡佐江門ノ祖父 も亦、猟の為に夜を込め、中ノ谷中尾を越えけるに、峠の半にて小僧一人現れ出て、君に対ひ「放銃せよ。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))

『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。

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