馬鹿囃子で動き出した橋桁引きの牛
どんな伝承か
霊的な作用は人間に限らず動物にも見られるという例である。往年、浅草橋を架け替えたとき、数頭の牛に橋桁を引かせたことがあった。ところが途中で牛は申し合わせでもしたように立ち止まり、どれほど鞭を当てても一歩も動こうとしない。人夫たちが手を焼いていたところ、一人が機転を利かせて馬鹿囃子を盛大に鳴らしながら牛を引いた。すると牛は不思議なほどあっさり歩き出した。祭礼のたびに囃子を聞きながら山車を引いてきた長年の経験が結びつき、囃子の音が山車を引く動作の合図として働いたのだと説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・1940年(昭和15年))
『心霊現象治病法』は、心霊学研究会が昭和十五年に発行した心霊療法の手引書である。精神を心理学と唯識の八識説で説き分け、暗示と感応、睡眠と覚醒、肉体と精神の存滅を論じたうえで、薬に頼らず観念と精神統一で病を治すことを唱え、大正十一年の治療の例などを挙げる。第四編「疾病と心霊療法」の後に附録の第五編「実験」を置いて霊動術・金剛力・剣の刃渡り・熱湯熱火を防ぐ法・感応術の修め方を説き、「発心の一言を残して」で結ぶ。