小川村の物置で死んだ諸国修行の僧祐善
どんな伝承か
文政十一年、秋田の扇田村から出た諸国修行の僧祐善が、八十の高齢で守山領小川村にさしかかり、急病を発した。日も暮れたので一夜の宿を乞い、村の者は薬を飲ませて送り出したが、祐善は立ち返り、物置に取り臥せっていた。身寄りの数人が代わる代わる看病し、赤沼から医者を呼んで手を尽くしたが、その甲斐なく死去した。白河領松本村に住む甥へ連絡が取られ、甥たちの希望によって一札を取ったうえで当地に埋葬されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
疫病と狐憑き-近世庶民の医療事情(昼田源四郎・昭和中期(推定))
本書は江戸時代の陸奥奥州守山藩領における『御用留帳』を史料とした、近世農村の医療事情と心霊現象の研究である。狐憑きや物付きなどの精神疾患が、祈禱や指籠入れ(座敷牢)によって治療された実例を14件詳述する。天明・天保の飢饉や流行疫病(疱瘡、麻疹、コレラ等)への対応と並行して、乱心者の社会的処遇、責任能力の鑑別問題、欠落(逃亡)との区別が論じられている。